2006年06月13日

細胞の構造と構成成分 (1)

 さて…。今回からこのカテゴリーは、微生物機能に学ぶ化学(微生物バイオテクノロジー)から見た「細胞の構造と構成成分」を見ていきます。講義上の流れでは、序論にあたるものです。

 前に「発見運」でも概要をちらっと述べましたが…。

 微生物も細胞からできており、生きている細胞の満たすべき基本的条件を満たしています。その細胞を構成する成分や細胞内で行なわれる化学反応を理解することが微生物を理解する第一歩となります。



細胞説と生命の基本的条件


  1. 生命の基本的条件


  2. すべて生命のあるものは、細胞質膜という膜に包まれた袋状の構造をもっており、これが細胞であります。そして新たな細胞は母細胞が 2 つの娘細胞に分裂して作られ、それ以外に細胞があららに生まれることはありません。

     これが 19 世紀のシュライデン。シュバンらにより提唱された細胞説であり、今日の細胞学の重要な基礎となっています。単一の小さな細胞( 1 mm の 1/1000 の長さである μm レベルの大きさ)で 1 つの生命固体である細菌から主として数十 μm レベルの大きさの細胞約 60 兆個からでいているヒトのような生命固体まで、固体を形成する細胞の大きさや数には多様な変化が見られますが、各々の細胞は、ただ単に細胞という形をしているだけではなく、生きています。そして、生きている細胞は、いずれも以下に述べるような生命の基本的条件を備えています。


    1. 細胞という基本構造、即ち、内部(生命)と外界の間に境界(膜)を持つ。


    2. 境界(膜)を通した外界との物質や情報の交換ができる。


    3. 細胞外部からの物質(光などの物理的エネルギーを利用できるものもある)から、化学反応(代謝)よりエネルギーを得(=エネルギー源)、化学エネルギーとして貯蔵、利用することができる。


    4. 細胞外部からの物質を代謝することにより、自己のもつ化学物質の再生産ができる。


    5. 細胞を二分し、増殖することができる。


    6. 細胞構造の形成、物質変換(代謝)、分裂・増殖のための反応の働き手はタンパク質であり、そのアミノ酸配列の情報プログラムを、ゲノム上のヌクレオチド配列(塩基配列:遺伝情報)として持ち、そのプログラムを実施することができる。


     尚、代謝と働き手である酵素(タンパク質)による燃料(エネルギー)と材料(化合物)の作り直しであり、化学反応であります。また、遺伝情報とは設計書(コピーされる構造をもつ 4 種類の文字で書かれたレシピ)である核酸( DNA と RNA のうちの主として DNA )が持っており、ここに働き手の構造の情報があります。

     一方、化学反応とは化学結合エネルギーの受け渡しであり、結合を作り、結合を移動させ、あるいは結合の崩壊などの組み合わせです。このとき、結合エネルギーの吸収、移動熱への変換などを伴います。

     結合には、通常のエネルギーのものと、非常に高いエネルギーのものがあり、後者の代表が細胞内でのエネルギー通貨として用いられている ATP でありますが、この他、糖の代謝における基質レベルのリン酸化反応で合成される糖のリン酸エステルの中にも高いエネルギーをもつものがあります。

     生物が行う化学反応も、物理学で示されている以下の 2 つの熱力学の方式に従います。

    第一:エネルギー保存の法則
    第二:秩序→拡散(エントロピーの増大)

     また、生物のもつエネルギーの起源は、そのほとんどが太陽光からであり、一部は熱として拡散(無秩序)されてしまいますが、一部は化学結合(秩序)として保存される点が生物の特徴です、

     生物が行う化学反応(生化学反応=代謝)は、秩序だった化学反応でありますが、これは生体触媒(酸素=タンパク質)の利用によるものであり、この触媒は酸素(鍵穴)と基質(鍵)の特異性をもつことにより、特定の化学反応に必要なエネルギーが低減化され、その結果、その反応のみが推進されます。

     また、この働き手である酵素の構造(アミノ酸配列)の情報は設計書である遺伝情報に書きこまれています。


  3. 原始細胞と真核細胞


  4.  さて、細胞の構造を少し詳しく見てみましょう。現在私たちが知っているさまざまな生物の細胞は、すべて 2 種類の細胞に分類されます。 1 つは上に述べた遺伝子情報が 4 種類のヌクレオチドの配列情報として書き込まれている遺伝子の総体であるゲノム染色体(ほとんどの生物においては DNA と呼ばれる化学物質です)が、細胞の中で他の生物有機化学物質と共存している原核細胞であり(核を持たない細胞の意)、もう 1 つはゲノム染色体が核膜と呼ばれる核によって包まれている真核細胞です。

     後者の場合には、細胞質膜で囲まれた原形質の中に、さらにもう 1 つ別の膜で囲まれた領域(核)が存在します。原核細胞をもっている生物固体が原核生物であり、部生物の仲間の細菌(真正細菌と古細菌)がすべてこれに属します。

     即ち、細菌は原核生物で、しかも多くの場合には、単一細胞で 1 つの生命体です。

     一方、真核細胞をもっている生物固体が真核生物であり、植物や動物などいわゆる高等動物や、微生物の仲間でも酵母や糸状菌(かび)がこれに属します。

     なお、真核微生物も細菌と同様、単一細胞(大きさは 10 μm 程度で、細菌よりかなり大きい)で一固体のものもありますが(主として酵母など)、糸状菌では多細胞の構造をとるのも多くあります。

     ところで、現存する細菌と真核生物とを比較したとき、気がつくのが、この大きな 2 部門の差異が、決して核膜の有無だけではないということです。本講義では微生物の化学に関することを中心とするため、詳しい説明は省きますが、両部門では、染色体の存在状態は(細菌では環状のもの一本の場合が多く、真核生物ではすべて線状で、複数存在します)、遺伝情報の流れにおいて、DNA から RNA へと写しとられる転写の段階で、前者は 1 種の RNA ポリメラーゼのみ持ちますが、後者は異なる 3 種の酵素を持ちます。

     DNA 配列中に後者はイントロンと呼ばれる RNA に転写された後で切り取られる配列をもつちますが、前者にはイントロンはありません。この他にも、転写された RNA への修飾の有無、RNA からタンパク質を合成する場であるリボソームの大きさの差異、など、数え上げれば十指に余る断絶があり、進化の過程で核を獲得し、真核生物が誕生したときに、遺伝情報の保持や流れの過程にドラマチックな変化が起きたことが推定されます。



(...to be continue...)

 次回は「細胞の構造成分」の話です…。
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2006年06月04日

生命の特性 (6)

 前回の「生命の特性 (5)」の続きとなります…。

 今回は、生命の特性の章では最終回となります「細胞の生、固体の生、生命系の生についての話です。



▼細胞の生

 生きている状態を演出できる最低限の単位は細胞です。細胞の構造をとれば、生命現象が演出されます。ここでは、細胞という意味を DNA という自己再生産能をもつ生体高分子が、(他のいくつかの生体物質などのその他のものと一緒に)脂質二重膜である細胞膜で包み込まれ、外界と隔離された構造体を形成しているものと、基本生物学では定義されます。

 普通の真核細胞のように 1 つの細胞には核が 1 つ含まれているものが、現生の生物には圧倒的に多いですが、原核細胞には巻くに包み込まれた核はありませんし、多核体には 1 つの区切りのうちに 2 つ以上の核が共存しています。


▼固体の生

 私たちは生命について考える際、ついつい自分の生命を考え、固体の生涯について生命を極限的に理解しようとする傾向にあります。例えば、外傷を受けたり病気で基本的な体機能が正常に働かなくなったなど特別な体験をしない限り、生きているという一般的な現象を、(主観的な見解から自分の立場の目で)自分が生きていることに置き換えて考えてしまうのです。しかも、自分が生きていることが、生物が生きていることの 1 つの断面であることもしっかりとは認識しようとはしません。

 自分は 1 つの固体を形成します。固体とは、現在はヒトや犬など、その生物を形成する骨格と器官と体細胞体などで形成された一つの固体としてを成したものをいいますが、もともとの生物は、単細胞でしたので、はじまりは固体は細胞そのものでした。

 10 数億年前になって、多細胞体が進化してきて、細胞の生とは違う田細胞体の固体の生物が現れ、複数の細胞で 1 つの纏まった生を営むようになりました。固体を形成する細胞の間に機能の分化が生じ、それが形態の分化を伴って。細胞の多様化を進化させました。

 もっとも大きな変化は、世代を超えて生命を伝達する役割を果す生殖細胞と、日々の生活活動をさまざまなかたちで支え、日常的な生を演出する体細胞とが分化したことです。生殖が完成されて自分の生命が次世代に受け継がれたあと、体細胞は一定の期間を経てその役割を終えます。一般的にヒトは先代が寿命が尽きれば死亡したと考えられがちですが、固体の寿命が尽きれば、物理上、次世代へと世代の交代が起こります。

 細胞についても、同じ細胞がいつまでも生きつづけるということはありません。やがて細胞分裂を行って母細胞から娘細胞へと細胞世代を転換するように、固体も一定の期間の経過の後に、親の世代から子の世代への転換が進みます。

 但し、多細胞体であっても、個体性の識別に困難を伴うのも少なくはありません。ヒトや動物の個体性は認識しやすいですが、植物の場合は、どこまでが固体化、動物と対比して判別が難しくなるものが少なくありません。

 例えば、竹やぶはたくさんの竹の固体の集合体のように見えますが、実際は、竹が根茎を繋がれたものであります。したがって、根茎で繋がれている竹は、1 本 1 本が固体ではなく、竹の 1 本 1 本は木の枝の 1 つに相当し、根茎でつながれた全体が 1 つの個体にあたります。

 但し、竹の場合、根茎を切断して 2 つにわけても、2 つのそれぞれが完全な生を営むので、分断した 2 つの断面はそれぞれ独立の固体として生きていくことができます。即ち、 1 固体と思っていたものが、ほとんどそのままの姿で 2 個体となっていきることもできるので、判別するには難しいものがあるのです。

 無脊椎動物の場合にも、判別が難しいものがあり、例えばプラナリアは 2 つに分断すると、それぞれ独立の完全な固体を回復されます。これらの生物にとって、個体性は、分断された際、どこまで再生能が働くかによって決められています。

 植物の場合、体細胞にも全能性( 1 個の細胞から 1 個の固体を作り出す能力。動物では生殖細胞がもっていますが、体細胞の全能性を誘導することでクローン生物が育てられます)があるので、動物に比べて個体性が曖昧になります。

 多細胞体については、そのからだがどのように形成され、どのように統一されて、どのような多機能をもっているか、それらは生きていることを示す重要な現象であり、生物学系の学問ではそれぞれの断面について詳述されています。


▼生命系の生

 私たちヒトは自分という固体が自分だけで完結した生を営んでいると考えかちです。しかし、実際には私たちの生は多くの人とかかわり合って社会の中で営まれていますし、ヒト以外の多くの生物種と不可分離の関係性(食物連鎖など)を分かち合いながら演出されます。

(それは、植物と動物との関わりを見てみればわかりやすいと思います。)

 固体として完成される生など、どの種にもありえません。実際に種相互の関係を丁寧に探っていくと、地球上に生きているすべての生物は直接的・間接的に、何らかの関係性を分かちあっているという事実に行き当たります。

 一方、既に述べているように、私たちがもっている生は 30 数億年生きつづけた生命です。さらに、30 数億年前に地球上で始原生物が生き始めたときには、生命体は単一のかたち(簡単な構造の生物)であったとほぼ確かに推定されています。

 ということは、地球上に生きる、億を超える数に達しているかもしれないと推定される多様な生き物たちは、もとをたどれば、単一の形であったということになります。ちょうど、60 兆個を超える数の細胞の集合体であるヒトの体も、もとはだった一つの受精卵から始まったようなものであります。

 単一の姿から始まり億を超える数の種に分化してきた 30 数億年の進化の歴史でつながれ、そのすべての種と種を構成する固体がもれなく直接的・間接的な関係性をもっているという、時間と空間を超えた地球上の生物の集合体を生命系という単位で考えることができます。

 細胞の集合体である多細胞の固体が独立の生を営むように、固体や種の集合体である生命系が 1 つの単位としての生を営んでいることが(そのように見て考察することによって)明らかになります。

 生命は、細胞のレベルで最低限の完成度をもち、私たちに認識しやすい姿としては、固体のレベルで生を演出しており、さらに地球上の生命系を形作って生きていると言えます。

 これら、それぞれのレベルの生を解明することによって、生きているということはどういうことかという問いに対する解答は期待できるだろうと、基本生物学では(多種多様の生物学では特にこのように)考えられています。



(...to be continue...)

 次回は今は流行りの分子レベル上の微生物から見た生体構造を見ていきましょうかね…。

 これには、物理学的知見も入っているので楽しめるかと思います…。

 もともとは、何ヶ月も前から予定にしていたものです。

 まぁ、他の研究も入っているのでいつのことになるかはわかりませんが、いつかはできるでしょう…。
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2006年04月27日

生命の特性 (5)

 間があいてしまいましたが、前回の「生命の特性 (4)」の続きです…。

 今回は、生命の特性についての話をします…。



▼生命の特性

 バクテリアからヒトまで多様な生物が生きており、それらは、見た目上の固体でみれば別々の種類の生き物であるように思えますが、分子レベルで見れば、DNA と RNA でその固体は形成されており、それらはミトコンドリアをもっていることから、それらが普遍的な性質を共有するといいます。

 生きることを演出する機構はすべての生物において共通の不変性を備えています。しかし、もし生物が単一のすがたで生きていたら、地球環境の変遷に押しつぶされてすぐにでも絶滅してしまっていたことは、分子技術が発展した今ではごく自然に考えられるだけの知識をもち得るだけの根拠が見出されてきました。

 DNA は 正確に自己再生産することによって、世代を超えて生命を間違いなく継承することに寄与しています。しかし、一方で、ごく小さい比率ではありますが、その始まりの日以来、常に異変を抄出し、環境の変遷に適応した新しい型をつくり出すことが可能な性質も備えています。

 この DNA の正確な自己複製とごくわずかな変異の創出が、過去 30 数億年にわたって生命を安定した形で維持しつつけてきました。即ち、セントラルドグマで代表される生命の普遍性と、生物多様性との共存が、生き物の特性を描き出しているともいえます。

 このことは、DNA や RNA が永久に生きる装置としての生命にとって基本的な特性です。この特性が演出するさまざまな現象を解析し、得られた情報を統合することによって、生きているとはどういうことかを明らかにすることができると期待されています。

 しかし、生命とは何かという問いは、個々の現象を生命の一断面として解明することで解き明かされるものではなく、それは、物理学で得た知識が技術面や電化製品や住宅や車両などに応用されるように、そもそもの生物学の意味は、個々の現象を解明することによって科学的好奇心を部分的に満たすことがある反面、解明された事実に基づいて、医療、資源、環境など、人間の生活に関わりのあるさまざまな条件の改善整備に寄与することにありますが、生きているということはどういうことなのかという問題の総体が明らかにされるのは、生物学があらゆる生命現象をすべて解析し尽くした頃になるになることでしょうから、今から何十世紀、ひょっとしたら、何千、何万世紀も先のことになるかもしれませんし、解明される前に途中で絶滅してしまうのかもしれません…。

 その時その時に解明されつつある生命現象が、生命の全体像を解くという意味では、その限られた側面であることを正しく認識することも、生きているということはどういうことかという問いに対する真摯な対応であることも知っておきたいところですね…(^-^)



(...to be continue...)

 次回から、「細胞の生、固体の生、生命系の生」の章に入ります…(^-^)
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2006年04月05日

生命の特性 (4)

 前回の「生命の特性 (3)」では、生命に見る普遍性と多様性について、生命の普遍的側面について述べましたが、今回は「生命の多様な側面」についてのお話です。


▼生命の多様な側面

 生き物とされているうちには、構造の簡単な大腸菌のようなものから、自分自身を高等生物とよんでいるヒトまで、地球上では一番多い種とされている昆虫や植物まで、多様な種が知られています。

 生物の多様性という表現は多様な意味で使われますが、大雑把に整理すると、次の 3 つの側面で理解することができます。

 一つは 遺伝子多様性 で、 DNA の構造の多様性で表現されます。 DNA のヌクレオチドの主鎖には、 4 つの塩基がつきますが、塩基の数は一定数に限られてはいないので、塩基の配列は理論的にも無限通りあることになります。

 実際、さまざまの生物のもつ DNA の塩基配列は、現に知られているものだけでも極めて多様です。ここいう多様とは、大腸菌のもっている DNA からヒトももっている DNA まで多様であるということ。また、同じヒトでも固体異変があって完全に同じ DNA を持つことがないということ。これらすべてを含めて 遺伝子多様性 といいます。

(注:ここにおいては、話の定義が DNA であるので、 RNA を基盤としているレトロウイルスなどの寄生生命体においては、さしひかえています)

 遺伝子が多様であるから、それからつくられる生き物はさまざまです。しかし、生物は種として生きているという側面があり、事実、これまでにおよそ 150 万(以上)と数えられる種が地球上で認知されています。この数は、実際にはもっともっっと大きいと推測されていますが、いずれにしても、これを大雑把に言ってしまえば、厖大な数の種が地球上で生きている状況を 多種多様 とよんで整理しています。

 先ず言えることは、地球上で生息する生物において、種は単独で生きることはまず有り得ません。食物連鎖や種の存続のための生存競争などの自然現象をみてわかるように、必ず他の種と複雑な関係性をあみ出して、生きることを演出しています。

 多くの固体、多くの種の間の関係はそれぞれに個性的で、種を構成する固体の個性も多様であり、種もまた多様であることから、それらの間の関係性も極めて多様であることから、それらの間の関係性も極めて多様な像を描き出します。このような関係性の多様性を 生態的多様性 といいます。

 遺伝子、種、生態系のレベルで整理するだけでも、生物多様性には多様な構造が有り得ます。実際、現実上においては、生物のもつ形態や機能も、種によっても、固体の各部分によっても、つくりはさまざまであり、まさに多様です。

 しかし、 30 数億年前に地球上で生命が発生したときには、生物は(原始的な)単一のものだったと推定されています。

 但し、 DNA は複製する際に、現生の生物については、およそ 100 万分の 1 から 1 億分の 1 くらいの率で正確さを欠くことがあります。このようにして生み出される遺伝子突然変異が生物における異変を生じ、 30 数億年の進化の歴史を経て生物の多様性を生み出してきました。

 生物は変異型をつくることで多様な環境に適応する能力を備え、 30 数億年の歴史を生き抜いて来たという側面もあり、生物多様性は生命現象として最も肝要な性質の一つとなっています。



(...to be continue...)

 次回は、「生命の特性」についてのお話です…。
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2006年03月26日

生命の特性 (3)

 前に書いた気がするのですが、気のせいか、データを探してもないので、「生命の特性 (2)」の続きの話に入ります。



▼生命現象の演出

 あらゆる生物は自分であることを認識する DNA の働きによって、 RNA 、アミノ酸、タンパク質を一定の規則に従って産出し、種にふさわしい生き方を生きます。しかし、このセントラルドグマの発現にあたっても、現象の演出はすべて環境との相関関係に基づいて行なわれます。

 例えば、SFの物語では、同じ遺伝子を持つ場合同じ人格を持ち同じ記憶を持ち同じ姿を持ったキャラクターが登場しますが、現実では同じ遺伝子をもっている筈の一卵性双生児でも、まったく同じ姿には育ちません。何故なら、同じ遺伝子を持って生まれてきても、まったく同じ環境に生きつづけることは有り得ないからです。また、同じ環境にいても、立場が全く同じわけでなく、兄と弟・姉と妹・兄と妹・姉と弟…等の立場に違いによって、人格形成も違ってきます。

 このようにして、同じ種に属する生物でも、ごく僅かずつ遺伝子に変異を持つこと、さらにその遺伝子の発現に際して相関関係を持つ環境が同一であることは有り得ないことから、固体にはそれぞれに特有の個性が形成されます。

 しかし、固体によって僅かずつ異なるとはいえ、ヒトはヒトであり、ライオンはライオンです。長い歴史を刻んで形成されてきた種の特性は、遺伝子に僅かな異変が生じたからといって容易に崩されるものではありません。

 遺伝子に生じる変異はゲノム総数に対しごくわずかなものです。たとえそれが急速に蓄積されたとしても、新しい種が形成されるまでには、速度が速い有性生殖集団においても、平均して100万年単位の時間が掛かる変化です。

 個々の固体には個々の個性が作られるというものの、種内変異とされる範囲の個性の独立性は種の差から見れば、ごくわずかな差であると言えます。

 種という共通性のもとで、種内変異の枠内の個性をもって、生物の固体は生を演出します。演出する個々の現象のどこまでが固体の演ずるものであり、どこからが種であり、生き物であるという普遍性の制御するものであるか。これらの問いかけに現象は何を語るのか、それを深く理解するには、まずは基礎的な生物学を学んで全体像を掴み、さらに個々の詳細を学んでその仕組みを理解する必要があります。

 但し、生きているとはどういうことなのかは、特定の切り口で見る現象だけで解明できるものではなく、生物のもつすべての特性の総体として演出されるものであることはしっかりと認識しておくことが大切です。



(...to be continue...)

 次回は「生命に見る普遍性と多様性」について、これまでの復習も兼ねてゲノムの諸相をざっと説明します…。
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2006年02月08日

生命の特性 (2)

 前回の「生命の特性 (1)」の話の続きです。



生命の連続性

 19世紀の末、生命の自然発生が論議された際、パスツールは白鳥の頚と呼ばれる特殊なフラスコを用いた実験で、反論を抑えることに成功しました。論争はその時点で黒白がついたとされますが、20世紀に入って生物学が進歩するにつれて、生命の自然発生を否定する根拠はますます確かに根拠付けられることになりました。

 生き物はすべて(有機物や無機物、電子やイオンの作用、光などの環境を利用して)生き物から生み出されます。生きていることを演出する DNA を載せ、膜で包み込まれた細胞構造のうちに浮かべて、親から子へ継代することで、細胞レベルで見れば、一瞬の休みもなく、生きていることを演出されつづけています。

 多細胞の固体は寿命が尽きれば死にます。しかし、単細胞体では二分裂をして親の世代から子の世代へ継代するものの、世代の移行に伴って死骸を残す自然死という現象は見られません。多細胞についても、親の世代から子の世代へ移行する際生きている細胞は、(配偶子から受精卵=接合子へ)すがたを変えることはあっても、(固体生物のように)途中で死ぬことはありません(:但し、病理でいう体細胞の崩壊の現象があるように、存在する環境によって細胞崩壊することはある)。

 すなわち、我々人間や生物といわれるものの存在を「生命」とし、「生きている」と仮定するならば、子が生きているのは親から生命を受け継いだからであり、生物はすべて生きていることを新しい世代の生命体が古い世代から引き継いでいると見ることができます。それを太陽系の進化の過程上での生物の進化を見ていけば、生物そのものを取り上げると、すべての生物の生命は、地球上に生命が発生して以来 30数億年の間一休みもしないで生きてきたものであることから存在し得ると言えます。

 一方、単細胞の場合も、どんな細胞もいつまでも生きるということはなく、やがて二分裂して子の世代へ移行します。その際、死骸を残す死骸は認められませんが、親の細胞は(細胞崩壊して)なくなります。すなわち、同じ世代がいつまでも継続するこということはありません。生命は(生命体という乗り物を次世代に乗り換えながら)生き続けますが、生命を担う生命体は親から子へ継代しています。

 我々人間の視点から言えば、その見た目上、生き物は固体として生きているとしますが、存在し続けるには環境に適応した強い遺伝子が必要であるため、分子レベルにおいては、1つの固体で生きていることを完成することは出来ず、必ず他の固体、他の種と相互関係を形成しています。これを(生物学においては)「生き物は生態系の要素として生きている」といいます。地球環境の中で形成されたこの生態系は瞬時も静止することなく、常に変化を刻み続けます。これらのことは、生命固体についても言え、生命体の内では生態系が営まれ、あらゆる部分で動的平衡が刻み続けられ、生命体を構成する原子や分子や細胞も、同じ状態で静止することは殆どありません。

 細胞レベルであれ、多細胞の固体レベルであれ、親から子へ継承する際に、ごく僅かな比率でありますが遺伝子に変異が生じます。この変異が長い時間をかけて蓄積すると、新しい種が形成されたり、1つだった種が2つに分化したりします。種もまた、常に変動を重ねているもので、同じ種がいつまでも同じすがたで生きつづけるということはありません。

(蛇足な補足:これは、例えば、PCで言い換えれば、OSやソフトを購入したままではバグなどで環境に対応できないのでパッチが当てられます。その意味で、デフォルトのOSのままではありつづけることはない、ということが言えます。パッチをあてる必要性の意味は、生物における種の変動の必要性の意味と同じようなものです。)

 このようみ見ていくと、生物は、一方では 30数億年連綿と生き続ける生命を担っている存在でありますが、それと同時に、片時も静止状態に止まることがなく、からだを構成する原子や分子を取り換え(神経細胞など、特殊な場合を除いて)細胞を入れ替え、世代を更新し、種分化を重ねている存在であるということが言えます。



(...to be continue...)
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2006年01月24日

生命の特性 (1)

 生物学から生物の体構造を見る前に、その本質を客観的に見て熟知するに、或いは、基礎的な知識を蓄えるに生命の特性を見ることにしましょう。

 生き物には細胞のうちに DNA など遺伝子担荷体を収めて生命現象を発現する普遍性と、厖大な数の種やさまざまな形質に進化した多様性が共存します。生きているということはどういうことかを、生物の普遍性、多様性の両面から見ていきましょう。


▼生き物と生きていないもの

 「生命」や「寿命」という言葉を聞けば、ほとんどの人がイメージするのはヒトの生命であり、自分のとくるでしょうが、ここでは、いったんその常識を忘れ、地球にいきる生物の生とは何かを整理し、それを基盤にしてヒトの生命や寿命を考えることにしましょう。ヒトという生き物は、多様に分化した生物全体から見れば、たった1種の生物であり、30数億年の生命の歴史から見れば、一瞬間ともいうべきわずかな間しか地球に存在していない生物です。

 私たちが生きているということはどういうことかを知りたいのは、自分の生命について知りたいというのが一般的に多いのかもしれませんが、これを知るには、自分の生命がどうやって生み出されていき、どのように演出されているかを知ることによって、生命とは何かを知る切っ掛けが与えられます。


▼生き物とは

 この世に存在するものを、生きているものと生きていないものに区別し、簡単に定義することは容易なことではありません。

 現在、人類の繁栄から環境破壊等で地球生物の絶滅危惧種の問題や外来種問題などが問題になっています(詳細はWWFのサイトやレッドリストのサイトで確認できます)が、現在までに生物学上では約 150 万種の生物を認知しています。しかし、これは人類が発見できた数に過ぎません。そこで、地球上にはもっと沢山の生物が生きていると推測され、その数は、少ない見積もりでも 1000 万種、多く見積もる推定では軽く億を超える数字が提出されています。この件については現在も議論されているところであり、ここではその議論に深入りすることは避けますが、生物と認識されているものには、動植物の他にも、魚介類、菌類や昆虫、微生物も含みます。

:近年では、ポストゲノムの進展から、DNA 核酸をもつものはすべて生物と認識されてきましたが、RNA の構造がわかってくるに従って、ウイルスも寄生生命体として認識され、現在では DNA 核酸を持たない RNA が進化した生命体もあると認識されています。しかし、ここでは、これまで生物であると認識されてきたものに絞って話を進めます。)

 2003年に大幅に改定された現代生物学の知見で解釈していくと、これまで一般的に生き物と人気死されたものにはすべて DNA を持っており、特に特有の DNA を再生産して、自分と同じ姿の子供を作ります。 DNA は自己複製をする生体高分子でありますが、生体から取り出すと結晶となって分子の状態となります。

 そこで、DNA が自己再生産する機構を見ると、細胞という構造のうちで反応が進行します。すなわち、DNA が自己再生産を行い、遺伝子情報を伝達し、親と同じ姿の子供を作るという現象は、細胞という構造の中で演出されるものであると帰納されます。

 このような視点で生物界を通覧すると、生き物と呼ぶものはすべて基本的には細胞の集合体として構成されていると考えることが出来ます。細胞には、1個の細胞からつくられる単細胞体もありますが、多数の細胞が寄り集まって多細胞体がつくられているものも多くあります。生き物と呼ばれてきたものには、その構造の基本に、細胞を持たない生物はいません。

:最近わかってきた RNA の構造の話は別の機会に記述します。本章では、底辺を等しくするに教育機関等で講義されている内容で話を進めます。)

 生きていないものと対比させて、生き物の徳性を整理すると、生き物はすべて DNA を細胞という構造のうちに溜め置き、自己再生産を行う DNA が( RNA を自己生産、または、元々あった RNA を取りこんで)細胞内で活動し、自己再生産を行って親と同じ DNA を子に伝え、伝えられたDNA の制御によって、種に特有の RNA をつくり(:但し、生物中の RNA には、DNA が生産した RNA の他に、既にあるものが取りこまれた RNA もあることが最近わかっています)、アミノ酸をつくり、タンパク質をつくって、種に特有の機能と構造を発揮します。

 DNA を基点とするこの一連の反応(巡っていく流れの状態)を セントラルドグマ といいますが、この反応は生きているものすべてが等しく演出している生き物に(とっては)普遍的な現象です。



(...to be continue...)
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2006年01月06日

ストレス時の生体反応

 近年、環境ホルモンにおける生体の悪影響が懸念されてきていますが、置かれた環境からストレスを受けることによって、体構造のバランスが崩れ、生体の悪影響を受けることが一般的に懸念されており、ストレス性の疾病や鬱などの心身症、症候群を患う人々が増えてくる中で、現代ではサプリメントの服用して壊れたバランスを補うといったケースが増えてきています。

 体内の悪影響は免疫力低下から引き起こることもありますが、その原因が生活習慣が原因であったり、ストレスが原因であったり、栄養摂取が適切に行われないことなどからでも引き起こります。

 体内環境の悪影響は、その環境における総合的な結果として現れてくるものであるので、原因が1つとは限りません。その意味では、環境ホルモン問題は、地球温暖化問題と同様、実態を解明することは難しいものかもしれません。

 今回は、ストレス時の生体反応についての話をします…。



▼ストレス時の生体反応

 ストレスはもともと物理学分野で用いられた用語で、力の「歪み」を表しています。ヒトの体で考えると体内に生じた歪みの状態を表しています。つまり、体外から加えられた各刺激に応じて体内に生じた障害と防衛の反応の総和と考えられています。

 ストレス状態が続くと経時的に身体に変化が現れます。警告反応期、抵抗期、疲憊期です。

 警告反応期はストレス刺激にさらされて生じた非特異的症状の総和で、障害あるいはショックの徴候が特徴です。その後、ショックに対する防衛反応が起こり、抵抗する時期があります。これが抵抗期で安定した時期でもあります。それでもストレス状態が続くと抵抗能力も疲れきって適応力を失ってしまいます(疲憊期)。

 身体上の特徴的な変化は胃の出血・びらん、乳腺の萎縮、副腎皮質の肥大で、全身適応症候群といわれています。

 ストレス刺激が加わると、視床下部を介して内分泌系と神経系に影響が生じます。下垂体前葉から ACTH が分泌され、副腎皮質ホルモン、特に糖質コルチコイドの分泌が高まります。また、交感神経運動が亢進し、その結果、副腎髄質ホルモンの分泌も増加します。これらの生体反応によって種々の症状が出現します。
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2006年01月05日

消化管ホルモン

 消化管ホルモンは他のホルモンに比べ複雑なシステムで働いているため、補足的に別枠で挙げることにしました。

 主な消化管ホルモンを挙げれば、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、GIP 、VIP 、ソマトスタチン…と6種類のホルモンが挙げられますが、これらは自立神経(交感神経・副交感神経)と密に機能しあっているものであるので、これらのホルモンの働きを説明しようとすれば、消化機能全体の話から入らなければならなくなるので、ここでは簡単に、全体図が見えるような説明だけにとどめます…(苦笑)。

 消化機能については消化管運動と消化液の分泌によって行われ、いずれも自立神経と消化管ホルモンによって調整されています。自立神経は脊髄の胸・腰髄から起始している交感神経と、脳幹部と仙髄から起始している副交感神経からなります。殆どの臓器は両者の神経によって支配され、それぞれの神経の神経の興奮によって逆の作用が生じます。消化機能の場合、基本的には副交感神経が消化機能を高めるよう働き、交感神経は逆に抑制するように働いています。例外であるのが唾液腺です。

 消化管ホルモンは、消化管粘膜に存在している内分泌細胞から分泌されます。各消化管ホルモンについては、一目で見てわかりやすいように、セルで表を作って、別枠で作りました。

   主な消化管ホルモン
 

 次回は、まとめとして、ストレス時の生体反応(ホルモンの働き)についての話に入ります。
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2006年01月04日

性腺

 性腺でのホルモンの働きの話です…。


▼性腺

 性腺は男性の場合は精巣、女性の場合は卵巣になります。これらの器官は精子や卵胞の発育に関わるだけでなく、性ホルモンも分泌します。
  1. 精巣

  2.  男性ホルモン(アンドロゲン)の主なものはテストステロンで、精巣の性細管に存在する間質細胞から分泌されます。男性生殖器官の成長・発達・機能の維持、骨や骨格筋の成長、第二次性徴などを引き起こします。視床下部、下垂体前葉からの上位ホルモンによって調整されています。


  3. 卵巣

  4.  女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、いずれも卵巣で産生され、女性生殖器官の発達や機能の維持に関与しています。

    1. エストロゲン

    2.  FSH の刺激によって卵胞から分泌され、卵胞の発育促進や子宮内膜の増殖を刺激します。また、乳腺の発育、第二次性徴の発現にも関与しています。

    3. プロゲステロン

    4.  排卵後卵巣に残された卵胞が黄体となり、ここ(卵胞)から分泌されます。エストロゲンによって増殖した子宮内膜を維持し、さらに腺分泌を促進したり、排卵を抑制する作用があります。また、体温を上昇させる作用があります。

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2005年12月30日

副腎

 副腎でのホルモンの働きの話です…。

 昔は半導体の設計図をエクセルで書いていたのですけどね…。今はとんとです。書く元気がありません…(T^T)

 ホルモンをネタに、セルで表を作って何が楽しいのでしょうね…。また、別枠で作りました。

   副腎から分泌されるホルモン


▼副腎

 副腎は腎臓の上部に位置する左右1対の腺組織で、外部の副腎皮質と内側の副腎髄質に分けることができます。副腎皮質ホルモンの一部は視床下部から分泌された CRH 、そして、下垂体前葉からの ACTH によって分泌調節されています。また、髄質ホルモンは交感神経によって調節されています。
  1. 副腎皮質ホルモン

  2.  副腎皮質は3層に分けられ、それぞれで異なったホルモンを分泌しています。

    1. 電解質コルチコイド

    2.  主な電解質コルチコイドはアルドステロンで、腎臓の遠位尿細管に作用し Na^+ の再吸収と K^+ の排泄を促進します。Na^+ の再吸収に伴い見ずも体内に貯留され、その結果尿量は減少します。血液中の K^+ 値の上昇や Na^+ 値の現象、レニン−アンジオテンシン系によって分泌が増加します。

       分泌が過剰になると高アルドステロン血症になります。血漿 Na^+ 濃度の上昇に伴う血漿浸透圧の上昇、そして循環血液量の増加が起こり、血圧の上昇が起こります。

    3. 糖質コルチコイド

    4.  糖質コルチコイドの主なものにコルチゾルやコルチコステロンなどがあります。糖質コルチコイドはタンパク質やブドウ糖に変換したり、抹消組織での糖利用を抑制して血糖値を上昇させる働きがあります。免疫反応とも関係しており、抗炎症・抗アレルギー作用があるため、臨床でも治療薬として用いられています。

       分泌過剰あるいは治療による過剰投与によって起こるのがクッシング症候群です。四肢のタンパク質分解が進み、手足が痛くなる一方、脂肪が体幹部に蓄積し、満月様顔貌を呈する体型が特徴的です。

    5. 副腎アンドロゲン

    6.  副腎アンドロゲンには男性化作用がありますが、分泌される量はわずかなので生理活性は低いものとなっています。


  3. 副腎皮質ホルモン

  4.  副腎皮質から分泌されるホルモンの約80%はアドレナリンで、残りはノルアドレナリンとごくわずかのドパーミンです。アドレナリンは主にβ受容体に働いて心機能の亢進や気管支の拡張、さらに細胞での酵素消費量を高め代謝を促進し、血糖値を上げる働きがあります。それに対し、ノルアドレナリンは主としてα受容体に働き、血管収縮を引き起こします。

     褐色細胞腫という副腎の腫瘍により分泌増加が起こり、頻脈や高血圧が出現します。手術で腫瘍を除去すれば元に戻ります。

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2005年12月29日

膵臓

 膵臓でのホルモンの働きの話です…。


▼膵臓

 膵臓には消化酵素を産生し十二指腸に分泌する外分泌機能と、ホルモンを血中に分泌する内分泌機能とがあります、内分泌細胞が集まった部分をランゲルハンス島といいます。ランゲルハンス島はグルカゴンを分泌するα細胞(全細胞の約20%)、インスリンを分泌するβ細胞(60〜75%)、そしてソマトスタチンを分泌するδ細胞(<10%)からなっています。これらのホルモンはいずれも血糖調節に関与しています。
  1. インスリン

  2.  インスリンは血糖値の上昇に反応して分泌が増加します。肝臓や筋肉、脂肪細胞を刺激して、血液中からのブドウ糖の取り込みを促進することによって血糖値を下げます。細胞内に取り込まれたブドウ糖はエネルギー産生に使われますが、余分なブドウ糖はグリコーゲン(肝臓や骨格筋組織)あるいは中性脂肪(脂肪組織)として貯蔵されます。

     インスリンの分泌低下あるいは作用不足の状態が糖尿病です。細胞内にブドウ糖が取り込まれないため、エネルギー産生が低下し、全身倦怠感が出現する他、大食、口渇、多飲、多尿など多彩な症状が出現します。

  3. グルカゴン

  4.  グルカゴンは、血液中のブドウ糖が減少すると分泌され、肝臓に貯蔵されていたグリコーゲンを分解してブドウ糖を生成し血中に放出します。その結果、低下していた血糖値は上昇します。また、アミノ酸からもブドウ糖を作り(糖新生)血液中に放出することによっても血糖値を上昇させます。

  5. ソマトスタチン

  6.  ソマトスタチンは同じ膵臓内のα細胞やβ細胞に働いてグルカゴンとインスリンの分泌を抑制します。

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2005年12月28日

甲状腺と副甲状腺

 甲状腺と副甲状腺におけるホルモンの働きは次のようになります。


▼甲状腺

 甲状腺は、気管を挟んだ声門辺りに左右に位置し、濾胞細胞と傍濾胞細胞からなっています。濾胞細胞が血管中からヨード(T)を取り込んで、サイロキシン( T4 )とトリヨードサイロニン( T3 )を生成するのに対し、傍濾胞細胞ではカルシトニンが生成・分泌される。
  1. 甲状腺ホルモン( T3 , T4 )

  2.  甲状腺ホルモンの分泌は視床下部からの TRH 、下垂体前葉からの TSH によって調整されます。体内の多くの器官・細胞に働き、酸素消費量を高め、基礎代謝率を増加させます。糖質からのエネルギー産生を高めたり、タンパク質の合成を促進するなど正常な正常発達に欠かさず、また中枢神経の発達にも関与しています。代謝が促進されるため、熱産生も促進します。したがって、寒冷時に分泌が増加し、体温の維持調整に働きます。

  3. カルシトニン( CT )

  4.  カルシトニンは、甲状腺の傍濾胞細胞から分泌され、血漿 Ca^2+ 濃度を低下させるよう働きます。血漿 Ca^2+ 値が高くなるとカルシトニンの分泌が増加し、骨からの Ca^2+ の放出を抑制したり、腎臓からの Ca^2+ 分泌を促進することによって血漿 Ca^2+ 濃度を下げます。副甲状腺から分泌されるパラソルモンと逆の作用を示します。

  5. 甲状腺機能異常

  6.  甲状腺機能亢進症の代表例はバセドウ病です。頻脈、甲状腺腫、眼球突出が三大徴候で、それ以外にも代謝亢進による体重減少、発汗増加、そして神経過敏などの症状が表れます。逆に機能低下症では代謝活動が低下するために行動量や精神活動が低下し、粘液水腫と呼ばれる独特の浮腫が出現します。


▼副甲状腺(上皮小体)

 副甲状腺は甲状腺の背部に左右2個ずつ位置し、副甲状腺ホルモン(パラソルモン: PTH )を分泌しています。血漿 Ca^2+ 濃度を調節する主要なホルモンで、 Ca^2+ 濃度が低下すると PTH の分泌が促進します。骨からの Ca^2+ 流出や腎臓での Ca^2+ 再吸収を促進することによって血漿 Ca^2+ 濃度を高めます。また食事に含まれる Ca^2+ を小腸で吸収するために必要なビタミン D を活性化することによっても吸収を促進します。

 パラソルモンの分泌が低下すると低 Ca 血症が起こり、骨格筋が不随意的に収縮するテタニーが出現します。また、逆に増加すると骨からの Ca^2+ が血液中に溶出するため骨障害が起きやすくなります。
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2005年12月27日

視床下部−下垂体 (2)

 前回の視床下部−下垂体 (1)の続きです。



▼下垂体中葉

 下垂体中葉からはメラニン細胞刺激ホルモンが分泌されます、皮膚のメラニン細胞を刺激して皮膚の色を黒くします。


▼下垂体後葉

 視床下部にある神経分泌細胞は長い軸索を出して下垂体後葉にまで達しています。この視床下部の神経細胞が興奮するとホルモンが血液中に分泌されます。

 下垂体後葉から分泌されるホルモンは2種類あります。
  1. 抗利尿ホルモン( ADH )

  2.  ADH は腎臓の集合管に作用して水の再吸収を促進し、その結果、尿量の減少をもたらします。逆に ADH の分泌が減少すると尿量が増加します。特に多量の ADH は血管収縮をも引き起こし血圧を上昇させます。このため ADH はバソブレッシンとも呼ばれています。血漿浸透圧の上昇や循環血液量の減少などが刺激となり、ADH の分泌が増加します。

  3. オキシトシン

  4.  オキシトシンは子宮の平滑筋収縮を引き起こします。また授乳時乳腺筋上皮細胞に作用し乳汁の射出を促進します。プロラクチン同様、乳児の乳頭への吸啜刺激によって分泌が増加します。


▼下垂体機能異常

 下垂体の機能に異常が起こるとホルモン分泌にも影響し種々の症状が現れます。下垂体機能低下症(シモンズ病)では主として下垂体前葉からの刺激ホルモンの分泌低下が起こるため、標的器官である甲状腺、副腎皮質、性腺が刺激されず、萎縮を起こし、それぞれのホルモンの分泌不足の症状が現れます。また、GH が成長期に過剰に分泌されると巨人症、逆に低下すると小人症となります。成長期以降に過剰分泌を起こした場合は末端(先端)肥大症となります。また、後葉っぱからの ADH の分泌が低下すると尿崩症となり、1日の尿量が20Lに及ぶこともあります。
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2005年12月25日

視床下部−下垂体 (1)

 前回の体構造で見るホルモン (1)の続きです。


▼ 視床下部

 視床下部と下垂体は繋がっており、下垂体は大別すれば、前葉、中葉、後葉の3つの領域からなります。下垂体前葉・中葉の内分泌細胞は、視床下部から血液中に分泌される放出ホルモンや制御ホルモンによって調整されています。

 各ホルモンの調整については、セルで表を作らなければならなかったので、別枠で作りました。

   視床下部から分泌されるホルモン

 視床下部と下垂体前葉との血管系を《視床下部−下垂体門脈系》といいます。

 視床下部と下垂体前葉をまたぐ「視床下部−下垂体門脈系」(血管)の下垂体前葉側の血管周辺には下垂体前葉ホルモンを分泌する腺細胞があり、腺細胞が分泌した下垂体前葉ホルモンは「視床下部−下垂体門脈系」の血管内に取りこまれます。下垂体前葉ホルモンには6種類ありますが、受容体を介して血液内に取りこまれると、循環系へ送られ、各作用部位で作用を促します。

 6種類の下垂体前葉ホルモンについては、一目でわかりやすいように、別枠でセルで表を作りました。

   下垂体前葉から分泌されるホルモン


▼下垂体前葉

 下垂体前葉からは6種類のホルモンが生成・分泌されていいます。
  1. 成長ホルモン( GH )

  2.  GH はタンパク質の合成を促進することによって骨、筋肉の成長を促進します。これらの作用は肝臓などから分泌されるソマトメジン C (インスリン様成長因子)を介して行われます。また、肝臓からのブドウ糖放出を促し血糖値を高める働きもあります。睡眠時や低血糖、運動などの刺激で分泌は増倍します。また、 GH の分泌は思春期頃がピークで、その後は低下します。

  3. 甲状腺刺激ホルモン( TSH )

  4.  TSH は甲状腺の濾胞細胞に働き、甲状腺ホルモンの分泌を促進します。

  5. 副腎皮質刺激ホルモン( ACTH )

  6.  ACTH は副腎皮質に作用し、副腎皮質ホルモン、特に糖質コルチコイドの分泌を刺激します。

  7. 性腺刺激ホルモン

  8.  性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)には卵胞刺激ホルモン( FSH )と黄体形成ホルモン( LH )の2つがあります。いずれも生殖器官(卵巣や精巣)に働き、これら器官の成長や機能の維持に関与しています。女性の場合、FSH は卵巣での卵胞の発育を促し、女性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)生産を刺激します。LH も卵巣に作用して排卵を誘発し、もう1つの女性ホルモン、プロゲステロン(黄体ホルモン)の産生・分泌を刺激します。男性の場合、FSH は精巣での精子形成を促進し、また LH は精巣内の間質細胞を刺激して男性ホルモン(テストステロン)の産生・分泌を促進します。

  9. プロラクチン( PRL )

  10.  PRL は乳腺細胞に働き、思春期や妊娠時に乳腺の発育を促します。また、分娩後の乳汁産生を促進します。乳児の乳頭への吸啜刺激によって分泌が増加します。

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2005年12月24日

各ホルモンの働き

 前回の体構造で見るホルモン (1)でも述べていたように…。

 ホルモンといっても、大別するだけでも「代謝に関わるホルモン」「血統調節に関わるホルモン」「血漿 Ca 調節に関わるホルモン」「血漿 Na に関わるホルモン」「循環維持に関わるホルモン」「消化機能に関わるホルモン」「生殖に関わるホルモン」とホルモンには幅広いものがあり、多くのホルモンとされる化学物質が存在し、それぞれ違った働きをしています。

 セルで表を作らなければならなかったので、別枠で作りました。

   各ホルモンの働き

 上記のものは、簡単にまとめてありますが、実に多くのホルモンという化学物質がたくさんあります。機会があれば、挙げていこうかと思います…。
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2005年12月23日

体構造で見るホルモン (1)

 内分泌系は神経と共にからだの機能を調節しています。ホルモンと呼ばれる化学物質を血液中に分泌し、成長、発達、代謝活動に影響を及ぼします。

 ホルモンを生成・分泌する器官(細胞)を「内分泌器官(細胞)」、そのホルモンが作用する器官(細胞)を「標的器官(細胞)」といいます。

 神経系が秒単位で効果を発揮するのに対して、内分泌系による作用は分〜日単位で起こり、作用は神経系よりよりも長いものとなっています。また、1つの機能を調節するために複数のホルモンが同時に働く場合が多いものとなっています。

 体内で生成されるホルモンはそれぞれ化学構造や作用の仕方が異なっています。

 一言、ホルモンといっても、大別するだけでも「代謝に関わるホルモン」「血統調節に関わるホルモン」「血漿 Ca 調節に関わるホルモン」「血漿 Na に関わるホルモン」「循環維持に関わるホルモン」「消化機能に関わるホルモン」「生殖に関わるホルモン」とホルモンには幅広いものがあり、多くのホルモンとされる化学物質が存在し、それぞれ違った働きをしています(参照:「各ホルモンの働き」)。


▼ホルモンの化学的な性質

 化学構成上、ステロイド型、アミン型、ペプチド(タンパク質)型に分類されます。性ホルモンと副腎皮質ホルモンはコレステロールから合成されるステロイド型で、それ以外はアミノ酸から合成されます。副腎髄質ホルモンと甲状腺ホルモンはアミノ基( - NH_2 )を持ったアミン型、それ以外のホルモンは数個〜数百個のアミノ酸からなるペプチドです。


▼ホルモンの作用機序

 ホルモンは血流にのって体内を移動するが目的の細胞にしか作用しません。ある特定のホルモンが作用する特定の細胞はそのホルモンに対する受容体をもっています。そのホルモンが受容体に結合することによってそれぞれの特異的な作用が出現します。

 受容体は細胞膜表面にある場合と細胞質にある場合とがあります。脂溶性のステロイド型ホルモンは細胞膜を通過して拡散し、細胞内の受容体と結合し生理作用を発揮します。それ以外のホルモンは細胞膜を通過しないので細胞表面の膜上にある受容体と反応して効果をもたらします。


▼ホルモン分泌の調節

 ホルモンはごくわずかの量で生理作用を発揮します。従って、必要なときに必要なだけ分泌されなければなりません。分泌の調節系には以下のようなものがあります。

【1:階層的支配】
 上位ホルモンが下位ホルモンの分泌を調節する場合のものです。例えば、視床下部から分泌された甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン( TRH )は下垂体前葉を刺激します。この刺激によって下垂体前葉から甲状腺刺激ホルモン( TSH )が分泌され、血液にのって甲状腺に到達します。甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンの分泌を促し、生理作用を発揮します。

【2:負のフィードバック機構】
 負のフィードバック機構は、恒常性を維持するために増加したものは低下するよう、低下したものは増加するよう働きます。たとえば、甲状腺ホルモンの分泌が増加し、血中濃度が高くなると、その血液が視床下部や下垂体に流れていき、TRH や TSH の分泌に抑制をかけます。また、血液中の物質濃度の変化によって調整される場合もあり、その1つの例が血統調節です。食事をして血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌され、上昇した血液中のブドウ糖濃度を下げようとします。


▼神経調節

 神経の直接刺激によって調節する場合で、交感神経系による副腎髄質から分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンがこれに相当します。

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2005年12月22日

物質の化学で見るホルモン

 前回の基礎生物学で見るホルモンの続きです。環境ホルモンによる悪影響について考えるに、今度は物質の化学で見るホルモンです。


▼生物調節機構

 ヒトは多細胞生物であり、細胞間の調節が巧みに行われています。この調節機構には、神経系、内分泌系、そして免疫系があります。神経系は主に神経細胞を使うシステムであり、いわば有線通信のようなものにあたります。神経細胞内では、電気的な信号(主にイオンの移動)でありますが、神経細胞の間の連絡はアセチルコリンなどの神経伝達物質によってなされます。

 内分泌系とは、甲状腺、副腎、精巣。卵巣など内分泌腺と呼ばれる腺細胞から血液中に情報分子を放出させるものであり、その情報分子をホルモンといいます。副腎皮質ホルモン、インスリンなどがあります。

 免疫系とは、血管やリンパ管などの脈管系を通って免疫細胞が全身を巡り、病原体や腫瘍などの非自己を認識して、それを破壊・防御するシステムです。異物(抗原という)と結合してそれを認識する Y 字型の抗体がありますが、これが免疫グロブリンというタンパク質です。一方、免疫細胞の細胞膜には受容体というタンパク質が埋め込まれていて、抗原タンパク質と結合して、細胞を刺激します。刺激を受けた免疫細胞はサイトカインと呼ばれる物質(インターロイキンおよびインターフェロン)を分泌し、異物の無毒化などの働きをするように細胞の働きを誘起します。インターフェロンは分子量が約2万のタンパク質あるいは糖タンパク質であり、ウイルス抑制因子として働きます。

 以上の細胞間調節だけでなく、細胞内においてもさまざまな物質が情報伝達、調節因子として働いています。これらの生体内調節分子の一例を示します。


### 生体内調節分子の分類と例 ###

【ホルモン】
性ホルモン、甲状腺ホルモン、インスリン、 TSH 、 LH 、 SFH 、成長ホルモン、アクチビンなど。

【神経伝達物質】
アセチルコリン、ノルアドレナリン、セトロニン、グルタミン酸など。

【細胞増殖因子】
肝細胞増殖因子、表皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子など。

【サイトカイン(リンフォカイン)】
インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子( TNF )など。

【その他のシグナル分子】
プロスタグランジン、 NO 、 ATP など。

【細胞内シグナル分子】 
サイクリック AMP 、イノシトールリン酸など。


 生物体は常に外界からのさまざまな変動に曝されています。例えば、温度、湿度、圧力のような物理的変化があります(つまり、熱力学的な作用です)。酸素濃度、食べ物の量や種類による栄養補給の変化、飲食物の pH などの化学的変化があります(生化学の世界ですね)。さらに、心理的な変化もあります。

 これらに対して、生体内環境の恒常性を保つ仕組みがあります。変化はありますが、相対的に定常的な平衡状態(動的平衡)を保つ、先述したような調節機構が働いています。これを「ホメオスタシス」といいます。この調節機構は最終的にはさまざまな化学物質の生成、分解、平衡の移動という形で解決されます。


▼分化と形態形成

 ヒトには約60兆個の細胞があるといわれていますが、これらはすべて同じものではありません。あるものは胃や腸。心臓。肝臓あるいは脳というような臓器(とされる器官)をつくり、これを形成するためにあるものは上皮組織や神経組織など(の組織)をつくり、これらを形成するためにあるものは血液細胞や神経細胞など(の細胞)をつくり、これを形成するにはミトコンドリアや小胞体など(の細胞小器官)をつくり、これを促すためにはタンパク質や核酸など(の分子)をつくり、全体として一つの生物固体をつくっています。

 しかし、受精した細胞が分裂する初期段階ではすべての細胞は同じであり、胃にも脳にもなる可能性がありましたが、発生が進む段階で変化すると考えられています(実験の段階では先に挙げたようなものを人工的につくりだすことに成功していますが、ものを詳細な過程においてはまだ詳しくわかっておらず、現在研究中になっています)。

 これを発生における形態形成といいますが、この形態と機能が限定された細胞に成長する調節もまた DNA および種々の生体分子の化学反応として理解されつつあります(注:これらは現在有力な説となっており、まだその構造の詳細はわかっていませんがゲノムの振る舞いの状態から解明されつつあります)。


(参考資料:放送大学「物質の世界−化学入門」2002年3月20日。および、放送中の講義より)
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2005年12月21日

基礎生物学で見るホルモン

 環境ホルモンによる悪影響について考えるに、まとめてみました。基礎生物学で見た場合のホルモンです。


▼基本の基本

 人体における細胞数は約60兆個あり、DNA → RNA → (塩基転写/RNAよりコドン生成)→ アミノ酸 →(これが集まり)→ 蛋白質 …などといった生体物質の継承の過程を正確に行う細胞周期の繰り返しやセントラルドグマなどの機能によって形成されます。また、細胞の内部にある情報に従って様々な分子が相互作用し、構造を作り、生命を営んでいます。


▼内分泌系の働き

 ホルモンとは、生物の内部環境のホメオスタシス(恒常性。体内の状態を一定に維持する機構)を維持するために働く化学物質です。ホルモンは体内の特定の細胞で産生され、多くは血中に分泌されて、血液と共に体内を循環して作用を発揮します。

 ヒトの内分泌腺である場合、内分泌腺といわれるホルモンを専門的に産生し分泌する機関の数は少ないですが、松果体・視床下部・脳下垂体・副甲状腺・甲状腺・胸腺・副腎・膵臓・腎臓・消化器管(胃・十二指腸・小腸)・精巣・卵巣、その他にもホルモンを産生する細胞は全身に散らばっています。

 ホルモンは内分泌系に属します。その理由は、汗や唾液などが体外に分泌されることから外分泌と呼ばれるのに対し、ホルモンのように体内に分泌されて多くの場合を内分泌といわれているため、ホルモンに関する学問を内分泌学といいます。

 また、ホルモンは体液に溶けた状態で運ばれるので、、神経による支配に対して液性支配といいます。ホルモンの種類は多く、現在は約200種類を越える化学構造の異なる分子が知られています。大まかに分類すると、ペプチド・アミン系、ステロイド系、およびジフェニルエーテル系に分けられます。

 一般によく知られている糖尿病患者に使用されているインスリンはペプチドホルモンであり、抗炎症剤として使用されるコリツゾンなどはステロイドホルモンにあたります。

 これら多くのホルモンは、体液によって分泌源から遠く離れた組織に運ばれ作用することが多いので、体内のすべての組織がさまざまなホルモンにさらされることになります。しかし、ホルモンが作用する組織の細胞には、それぞれのホルモンに特異的な受容体という受け皿が用意されていなくては機能できません。

 ホルモンとその受容体においては、あるホルモンは特定の受容体(ATP)とのみ結合(学術では「ATP結合」といわれる)するので、たとえ複数のホルモンが血中を循環していても、特定の組織だけがその信号(所謂、電気的な信号)を受け取ることができるようになっています。

 そのため、多くのホルモンが体内を循環していても、それに反応組織は決まっているので混乱は起きません(ATPの受ける形が同じで情報の変異、つまり、DNAの書き換えで異常をきたした場合、正常に機能しなくなることがわかっています。また、過度のストレス負荷から免疫が低下した場合、混乱が起きて正常に機能しないことが最近の研究でわかってきています)。

 ホルモンは体内環境の変化に対応して分泌され、ホメオスタシスの維持にあたりますが、いくつかのホルモンの作用は視床下部にある中枢の支配下にあります。例えば、食事の後、血中の糖分(グルコース)の量(血糖値)が上昇すると、視床下部にある血統調節中枢がそれを感知して、副交感神経をかいして膵臓に指令を送りインスリンの分泌を促します。インスリンは肝臓や筋肉に働いて、余分な糖分をグリコーゲンに変換して組織内に蓄えさせます。しかし、食事をとってから時間がたち、今度は血糖値が正常より低くなれば、これを感知した血統調節中枢は交感神経をかいして、副腎からアドレナリンの分泌やグルカゴンの分泌を促し、これらのホルモンは肝臓や筋肉に働いて、貯めこまれていたグリコーゲンをグルコースに変換して血中に放出させます。

 このように、あるホルモンの分泌が盛んになり、その影響で体内環境が変わると、今度は先のホルモンとは逆の作用をもつホルモンが分泌されて、過剰な変化を終焉させる機構があり、これを内分泌学の分野では「フィードバック機構」といい、ホルモンの適正な作用に欠かせない機構の1つです。

 神経の働きにおいての気温の変化の応答を、ホルモンの働きから見てみましょう。暑さに反応した温度中枢は神経系をかいして皮下の毛細血管を拡張したり、発汗を盛んにして放熱を促しますが、これらの神経による整理活動は血圧の低下を招きます。すなわち、血管系の拡張により体全体としては血管流量が不足気味になり、また汗として水分が失われ血液量も不足します。これらの変化は心臓にある血液の容量受容器を刺激することになり、容量受容器は神経を通じて血圧低下の信号を視床下部の中枢に送ります。すると、中枢は、脳下垂体後葉からバソブレシンというホルモンを放出させる指令を発信します。バソブレシンは血液に乗って腎臓に到達して、腎臓における水分の再吸収を促し、できるだけ尿として暴行に排出される水分量を減らし、体液量を増加させることで血圧を上げます。さらに、汗と共に塩分が体外に出してしまうので、血液の濃度も薄くなります。この体液濃度の低下は腎臓にある血液の浸透圧を感受する細胞を刺激して、レニンというホルモンを分泌させます。レニンは、肝臓から分泌されるレニン基質というものに作用して、これをアンギオテンシンというホルモンに変えます。アンギオテンシンは腎を刺激して、鉱質コルチコイドというホルモンを分泌させ、これが再び腎臓に働いて、腎臓からの塩分の排出を抑制し、できるだけ塩分の喪失を少なくします。

 血液の浸透圧が上がれば、体内の細胞から水分が血液中に染み出すことになり、血圧の上昇にもつながります。一方、寒ければ視床下部の温度中枢は甲状腺刺激ホルモンである放出ホルモンの分泌を促し、これが脳下垂体から甲状腺刺激ホルモンを分泌させます。この刺激ホルモンはさらに甲状腺から甲状腺ホルモンを放出させます。甲状腺ホルモンは体内の各組織を循環してその基礎代謝を活性化し熱を発生させて、体内の温度を上昇させるように働きます。この他にも温度中枢は、副腎からのアドレナリン分泌を促し体内の熱の発生を増大させます。これらのホルモンの働きは、神経系による応答よりも遅いものですが、じっくりと効果をあらわし、また長続きする応答なのです。

(参考資料:放送大学「新訂 基礎生物学」2003年3月20日。および、放送中の講義より)
posted by 梵 at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 体構造の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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