2006年06月26日

化学における原子論

 さて…。いよいよ、梵がボルンに現代物理学しましょうかね…。

 本日は、記念すべき第1回目、『気体分子運動論』より、「化学における原子論」の話をします。



化学における原子論

 現在の物理学においては、エネルギーと物質の概念が極めて密接に原子論と結びついています。そこで、原子についてのさまざまな考え方がどのようにして起こって来たかを簡単に示していきます。

 これらの考えの起源が化学にあることはよく知られています。化学反応で変化する物質の質量を精密に天秤で測るときに容易にわかる簡単な規則性を説明しようとすれば、必ず原子に関する考えが浮かんできます。

 まず、ある反応の前後で全体の重さが変わらないことがわかります。

 第二には、物質は一定の簡単な比例関係を示す重さで示す重さでしか結合しないことです。

 したがって、ある一定の重さの物質は第二の物質の一定の重さとしか反応しません。そして、これらの重さの比例は外的条件――例えば、 2 つの物質がどんな重さの割合で混ざっていたとしても――には無関係です。

 以上のような規則性を科学者の言葉でいえば、定比例の法則 および 倍数比例の法則 であります(ブースト Proust. 1799 / ドルトン Dalton. 1808 )。

 例えば、
1 グラムの水素は 8 グラムの酸素と結合して 9 グラムの水を作る。

1 グラムの水素は 35.5 グラムの塩素と結合して 36.5 グラムの塩化水素を作る。

倍数比例の法則の例は窒素と酸素との化合物で説明できます。

 即ち、7 グラムの窒素は、
1 * 4 グラムの酸素と結合して、 11 グラムの 亜酸化窒素

2 * 4 グラムの酸素と結合して、 15 グラムの 酸化窒素

3 * 4 グラムの酸素と結合して、 19 グラムの 無水亜硝酸

4 * 4 グラムの酸素と結合して、 23 グラムの 二酸化窒素

5 * 4 グラムの酸素と結合して、 27 グラムの 無水硝酸
 となります。

 気体の場合には、簡単な法則が反応物質の重さについてだけでなく、その 容積 についても成り立ちます(ゲイ・リュサック Gay-Lussac. 1808 )。

 即ち(一定圧のとき)、
容積 2 の水素は容積 1 の酸素と結合して容積 2 の水蒸気を作る。

容積 1 の水素は容積 1 の塩素と結合して容積 2 の塩化水素を作る。

 これを化学方程式で表すと次のようになります。

2 H2 + O2 = 2 H2O ,

H2 + 2 O2 = 2 HCl .

 および

2 N2 + O2 = 2 N2O ,

2 N2 + 2 O2 = 4 NO ,

2 N2 + 3 O2 = 2 N2O3 ,

2 H2 + 4 O2 = 4 NO2 ,

2 N2 + 5 O2 = 2 N2O5 .

 これらのことは、アヴォガドロ Avogadro によると次のように説明できます。

 すべての気体は、原子あるいは分子といわれるたくさんの粒子からなっています。そして、等しい容積の気体はすべて、同温同圧のときは同数の分子を含んでいます。

 化学反応の法則と関係しているこの原理の意味は、上の例で示すことができます。

 例えば、容積 2 の水素が容積 1 の酸素と結合して容積 2 の水蒸気になるという事象は、水素の 2 分子が酸素の 1 分子と結合して水蒸気の 2 分子を作るということと同等です(アヴォガドロ 1811 )。

 同様に、重さ 1 の水素が重さ 8 の酸素と結合して重さ 9 の水を作ることは、酸素 1 分子は水素 2 分子の重さの 8 倍であり、水 2 分子は水素 2 分子の 9 倍の重さであることを意味しています。

 このようにして私たちは、物質 1 分子および 1 原子の重さで夫々あらわす 分子量 および 原子量 の考えに到達します。これらは、グラムで測られるのではなく、原子量を 1 とおいたある標準(理想)気体に対して測られます。

(理想化された標準気体と重さには、H = 1 ではなく、O = 16 を定義する方が実際と一致すること、水素には重い同位元素が存在するため、好都合であることから、原子量を 1 とおいた、あるあらかじめから理想的なある標準気体に対して測られます。)

 このようにして測った分子量を μ で表すことにします。

 重さが μ グラムである物質のその量を 1 モル といいます(これは物質がたとえ化学的意味でそん竿しなくてもそういいます)。故に酸素原子 1 モルは 16 グラムでありますが、酸素分子 1 モルは 32 グラムです。

 モルのこの定義から、「 1 モル」の気体は常に同数の分子を含んでいます。この、モルあたりの分子の個数が気体分子運動論では重要な役割を演ずることになります。

 それを最初に決定した物理学者ロシュミット Loschmidt ( 1865 )に従って L で表します。これは科学的命名法の慣例にならい「ロシュミット数」というべきものでもあります。これは、ドイツの文献で用いられる言語ですが、他の言語では アボガドロ数 といい、その値は
L = 6.02 * 10^23 / モル
 です。


 さて、ここで「うっ…忘れてしまったよ…」といった人のために、物理学 IB ・Uからのものを引用しておきましょう。このモルは、物の個数を数えるのにダースという単位を使うように、分子や原子を数えるにはモルを使います。即ち、
1 グラム分子の中の数 、或いは 1 グラムの中の原子の数

   N0 = 6.02 * 10^23 個

です。この数 N0モル分子数 或いは アボガドロ数 といいます。

 この数、6.02 * 10^23 個の集団1 モル ( 記号 mol ) とよび、分子や原子などの集団の単位(物質の量単位) に用います。即ち、

   1 mol = 6.02 * 10^23 個の集団
 1 グラム原子は、原子量にグラムをつけた質量です。原子量 1 の原子 1 個の質量を単位にとり、これを 1 原子質量単位 といい、amu (或いは u で示します。

 分子や原子の大きさについては、甚だ小さいので、オングストローム Å を単位として表します。
1 Å = 10^−10 m ( = 10^−8 cm )

 アボガドロの法則では、「同温・同圧気体 は、その種類に関係なく同体積 の中に、同数分子含む 」ことと、実験から次のことが導かれます。
1 モルの気体分子 は、どの気体も、0 ℃ , 1 気圧 において、22.4 l体積占める
 尚、モル分子数 N0 を求める方法には、ファラデーの法則を用いて、実験より精密にファラデー定数 F の値を求め、これとミカリンの実験から求めた電子の電気量 e とから、モル分子数 N0 を N0 = F / e から算出し、他の種々の方法から求めた N0 の値から、 N0 の値を決定する方法もあります。(しかし、ここでははじめの過程であるので参考としてのみ振れるだけとします)

(* 現代物理学の気体分子運動論ではアボガドロ数をロシュミットに従って L で表します。)


 アボガドロの法則によると、1 モルの気体はある与えられた圧力および温度のもとで同容積を占めます。例えば、水銀柱 760 mm の圧力、温度 0 ℃ では気体の容積は、 22.4 l です。

 ここで、これから出てくる記号の説明を加えます。 m がグラムで表した分子の質量であるときは、 μ = Lm です。

 特に、水素原子では、 μ が大体 1 であるから、 LmH = 1 です。 mH は水素原子の質量をあらわします。さらに、n が単位容積中の分子の個数をあらわし、N が容積 V の中の個数をあらわし、そして、 ν が容積 V の中モル数であるならば、νL = nV =N です。最後に、 p = nm で気体の密度を、 V = 1 / ρ でその比容積を夫々あらわします。



(...to be continue...)

 今回は一般教育機関過程の理工物理学のものまで引っ張り出して示してしまいましたが、如何でしたでしょうか…A(^-^;

 化学における原子論についての準備が終わったので、次回は「気体分子運動論の基礎的仮定」についての話をします。

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