2006年04月09日

太陽の一生の観測の始まり…の話

 前回の「太陽の年齢の話」の補足として、幾分、昔話的な話になりますが、太陽の一生の観測が始まった当時の話をざっと追ってみることにします…。


 太陽の一生の観測は、太陽そのものを対称として研究を進められたものではなく、多くの星々(天体)を観測することで、太陽の一生の観測が始まりました。

 「星にも《一生》がある」という研究は、20 世紀初頭にスタートしました。

 アメリカの天文学者ヘンリー・ラッセル( 1877 〜 1957 )とデンマークの天文学者アイナール・ヘルツシュプルグ( 1873 〜 1967 )は、星の明るさ(絶対等級)と色(温度)の関係に注目しました。

 そして、明るさを縦軸に、色を横軸にとった図をつくり、そこに多くの星をプロットしました。その図は「ヘルツシュプルグ・ラッセル図」とよばれ、太陽系の一生を推測する材料の一つとなっています。

 この図の中には、2 つの大きなグループがあります。一つは、高温で明るい星から低温で暗い星までが列になったグループで、「主系列星」と名付けられました。もう一つのグループは、低温で明るい巨大な星のグループで「赤色巨星」と名付けられました。

 因みに、この図の製作において、お互いの研究をまったく知らないヘルツシュプルグとラッセルは、それぞれが独自に研究してつくりあげたもので、1913 年のイギリス学会で、はじめてお互いの研究の存在を知り、驚いたというエピソードがあります。尚、ラッセルはこの図をもとに恒星進化論を考えましたが、ヘルツシュプルグは「主系列星」と「赤色巨星」があることを協調しただけでした。

 とくにラッセルは、この二大グループこそ、星の一生の道筋を表したものだと考えました。

 ラッセルの考えとは、星はまず赤色巨星として生まれ、エネルギーを放出することによって小さくなって主系列星となる、というもので、主系列星となった星は、最初は高温で、やがて冷えて輝きを失うのである、という考え方です。

 しかし、この考えは、イギリスの天体物理学者のアーサー・エディントン( 1822 〜 1944 )によって否定されました。彼は、ラッセルが考えていなかった質量に注目し、「明るい星ほど質量が大きい」という説を提唱しました。

 そして、観測によってエディントンの説が正しいことが証明されたことから、これによって、主系列星はさまざまな年齢の星々ではなく、質量の異なる星と考えられるようになりました。

 やがて、核融合が恒星のエネルギー源と考えられるようになると、星は「主系列星」から「赤色巨星」に進化すると考えられえるようになります。

 従って、現在においては、「ヘルツシュプルグ・ラッセル図」は相対的に若い星「主系列星」と、相対的に年老いた星「赤色巨星」を示すものであると考えられるようになりました。

 このように、宇宙にはさまざまな年齢の天体があると考えられているということは、即ち、私たちが住む地球が属している太陽系の恒星となる「太陽」の過去と未来を予想する材料も宇宙にあるということになります。


 その後も数多くの仮説のモデルが挙げられ、観測によって整理され続けていますが、現在の有力説となっている「基本モデル」が科学情報誌等で一般に知られるようになったのは 2002 年の 1 月頃です。

 現在も、まだ数多くの仮説モデルがありますが、さらなる構造の解明にと、観測によって整理され続けています。
posted by 梵 at 01:04| Comment(0) | TrackBack(3) | 宇宙の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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