2010年09月13日

細胞: 3D で見るゲノム

出芽酵母の染色体間での相互作用を示す地図が、ハイスループットな染色体コンホメション捕捉法を用いてキロ塩基の分解能で製作されました。

その結果、核内にある染色体の三次元構造が明らかになりました。

ゲノム全体の形はスイレンの花に似ており、核の極の 1 つにセントロメアが集まり、この土台から染色体の腕 32 本が突き出しています。

この三次元地図は、染色体が動的存在であることは度外視して、ある一瞬をとらえたスナップ写真に相当しますが、真核生物のゲノムの構造を高分解能で初めてとらえたものであり、酵母という単純な生物のゲノムでさえ、非常に複雑な構造であることがはっきり示されました。


### database ###
nature 465,261-390 20 May 2010 Issue no.7296
Letter p.363 / A three-dimensional model of the yeast genome / Z Duan et al.(University of Washington)


DNA の塩基配列やクロマチンが伝達する情報の上には、染色体の一部、染色体全体、さらにはゲノム全体をも含む高次構造による情報が重なっています。

間期染色体は核内でランダムに配置されておらず、特定のコンホメーションをとっています。

異なる種類の DNA 要素が共局在して、決まった機能をもつ集合体、すなわち転写や DNA 複製用の「工場」が作られます。

出芽酵母やショウジョウバエなどの多くの真核生物では、染色体は Rabl 立体配置をとっており、紡錘極体の近くにあるセントロメアの腕は、核膜に隣接するテロメアのほうに長く伸びています。

しかし、染色体のトポロジーと空間的な関係は、まだほとんどわかっていません。

今回、 Duan たちは、染色体内部や染色体間での相互作用の全体像をとらえる方法を開発し、これを用いて、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の一倍体ゲノムについて、キロ塩基の分解能のマップを作成しました。

このマップはゲノム構造の既知の特徴を再現していたことから、手法の有効性が確認でき、また新たな特徴も見つかりました。

個々の染色体で、広い領域にわたる高次の折りたたみが観察されました。

第 12 染色体は非常に際立ったコンホメーションをとっており、核小体が強力な障壁となって、染色体両末端の DNA 配列が相互作用するのを妨げています。

染色体間の接触はセントロメアへの係留によっており、転移 RNA 遺伝子間、初期 DNA 複製起点間、染色体切断点になる部位間の相互作用もかかわっています。

さらに、酵母ゲノムの三次元モデルを製作しました。

これらの知見は、真核生物ゲノム形態と機能のかかわり合いを知る手がかりとなります。


posted by 梵 at 14:41| Comment(2) | TrackBack(0) | natureのこぼれ話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
梵が捕捉したの?
Posted by BlogPetの小十郎 at 2010年09月13日 15:26
梵はデータを取り上げただけだよ^^

Posted by 梵 at 2010年09月14日 18:13
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