2010年08月21日

医学:HIV 感染に抵抗する

HIV 感染者の中でエリートコントローラーとよばれる患者では、治療を受けなくてもウイルス量が長期間にわたって非常に低いレベルに維持されます。

このような患者では、数種の HLA クラスT遺伝子座が多くみられ、その中でも HLA-B57 は最も際立っています。

今回、エリートコントローラーで HIV に対する効果的な免疫応答が誘導される仕組みについてのモデルが示されました。

このモデルによると、 HLA-B57 は結合する自己ペプチドがより少なく、その結果、交叉反応性をもつ T 細胞レパートリーが生じ、ウイルスに対してより効果的な T 細胞応答が誘導されます。

この研究は、ワクチン戦略に影響を与えることになりそうです。


### database ###
nature 465,261-390 20 May 2010 Issue no.7296
Letter p.350 / Effects of thymic selection of the T-cell repertoire on HLA class T - associated control of HIV infection / A Kosmrlj et al.(マサチューセッツ総合病院、マサチューセッツ工科大学およびハーバード大学ラゴン研究所)


ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者のほとんどは治療をしなければ最終的に AIDS を発症します。

しかし、治療しないでも HIV RNA が非常に低レベルに保たれ、そのために病気の進行が遅くなり伝播も起こしにくい感染者(エリートコントローラー)が稀に存在します。

エリートコントローラーでは、ある種の HLA クラスT遺伝子座が際立って多く、その中で最も高い関連性が見られるのは HLA-B57 であります。

HLA 分子は CD8^+ T 細胞を活性化するウイルスペプチドを提示するので、エリートコントローラーで HIV 制御がうまくいくのは、免疫を介する機序によるものと考えられます。

今回、研究者らは、 HLA-B57 分子のペプチド結合特性が胸線発生に影響を与え、 B57 拘束性クローンのナイーブ・レパートリー中では、ほかの HLA 拘束性 T 細胞に比べてウイルスエピトープを認識するものの割合が増え、こうした T 細胞が標的エピトープ変異体に対してより高い交叉反応性を持つようになる仕組みについて報告しています。

今回の結果は、さまざまな経験的観察を統合する概念的枠組みとなり、またワクチン戦略に影響を与えるでしょう。

posted by 梵 at 22:40| Comment(2) | TrackBack(0) | natureのこぼれ話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ウイルスって…なんだろう…?
Posted by BlogPetの小十郎 at 2010年08月23日 15:13
ここに取り上げたウイルスは、人名ではなく、疫学のウイルスです。

RNA で構成された小さな生命体です。

伝染病の原因因子といえばわかりやすい?

山内一也東大名誉教授が出た NHK 人間講座、面白かったです^^
Posted by 梵 at 2010年08月24日 13:09
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