2010年04月11日

細胞:こっそり隠されている変異

細胞が適切に機能するためには、メッセンジャー RNA をタンパク質に翻訳する過程が、全体として正確に行わなければなりません。

しかし、HeLa 細胞を使った研究から、タンパク質合成に使用されるメチオニン残基はおよそ 1% がアミノアシル化されて、「教科書では誤りとされる」tRNA ができることが示されました。

ウイルス感染や、ウイルスあるいは細菌という Toll 様受容体リガンドの投与によって細胞がストレス条件下にあると、メチオニンが誤ってアシル化された tRNA の割合が、以外にも大幅に増加します。

ほかのアミノ酸について調べたところ、この現象は Met に限られたものであることがわかりました。

Met 残基は活性酵素種による損傷からタンパク質を保護することが知られているので、Met の誤ったアシル化はストレスに対する本来的な防御応答かもしれません。

自然免疫および化学的に引き起こされた酸化ストレスにより翻訳忠実度が変化することが(下記の論文により)示唆されました。


### database ###
nature 462,381-534 26 November 2009 Issue no.7272
Letter p.522 / Innate immune and chemically triggered oxidative stress modifies translational fidelity / N Netzer et al. (National Institute of Allergy and Infectious Diseases)



翻訳忠実度はタンパク質や細胞の機能に不可欠ですが、これには転移 RNA (tRNA) の正確なアミノアシル化が必要です。

精製されたアミノアシル tRNA シンテターゼは、10,000 〜 100,000 結合あたり 1 エラーという忠実度を示します。

しかし、in vivo での tRNA アミノアシル化の正確性は明らかではなく、かなり低いと考えられます。

本論文では、哺乳類細胞において、タンパク質合成に使用されるメチオニン (Met) 残基のおよそ 1% がアミノアシル化されて、非メチオニル tRNA になることを示されました。


posted by 梵 at 22:08| Comment(2) | natureのこぼれ話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
示唆って…なんだろう…?
Posted by BlogPetの小十郎 at 2010年04月12日 14:43
論文の詳細がほしいの?
Posted by 梵 at 2010年04月12日 21:52
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